生まれる子供の数が減少している少子化問題と平行して、産科医のなり手がいない、現在も産科医の不足が社会問題とされています。国はその対策として、「改正医療法第19条」を2006年6月に施行しました。
これは簡単にいうと、
「産科医は勤務時間が不規則でなり手が少ないなら、お産を大きな産院へ集約化して、産科医も施設の整った大きな病院で働くようにすればいい」
というものです。
これにより、地域の小さな産科は減り(2007年4月現在、全国で105産院が閉鎖)、妊婦は遠くの大病院に行かなくてはならず、大病院に分娩が集中するせいで、せっかく大病院の産科医が増えても過重労働に拍車がかかることになりました。
さらに、
「助産所の開設には、産科医と救急医療機関の嘱託医との提携を義務付ける」
という項目まで付け加えられました。これまで助産所は、地域の小児科や内科や外科など、どの医師との提携でも開設できていましたが、地域の産院が減った上に、大病院は助産所との提携を嫌がるという悪循環で(自分のところで手いっぱいで助産所の面倒までは見切れない、また、危険な状態になってから運ばれて万が一の場合、病院が責任を取ることになるのは避けたい)、2008年4月までに嘱託医が見つからない助産所はお産が取り扱えなくなります。助産師たちは開業できなくなり、助産所での出産はもちろん、自宅での出産もできなくなってしまうのです。
病院まで車で2時間などという地方に住んでいる人はどうしたらいいのでしょう。実際問題として、年間に車中分娩は相当数あるそうです。
このような理由で、都心でも、人気の産院や助産所は妊娠に気づいたらすぐに予約を入れないと定員でいっぱいになり、“お産難民”が生まれてしまうのです。
■ 現在の改正医療法第19条をどうすればいいのか。
では、「改正医療法第19条」をどうしたらいいのでしょう。
ここでは、大病院と個人産院と助産所の提携をしやすくできるような、システムの抜本的な見直しが求められています。
たとえば、大病院の中にバースセンターを作り、医師、看護師、助産師たちがともに働く環境を整えて情報交換をしたり、地域の小さな産院、助産所も開設しやすくなる条件を整えて、搬送システムの連携をよくしたり……。そうすれば、妊婦たちの出産の選択は増え、大病院にお産が集中することも避けられ、産科医たちの過重労働が問題になることもなくなるでしょう。日本のお産環境が豊かになるかどうかは、この改正医療法第19条にかかっているといえそうです。
この改正医療法第19条のさらなる改正のためには、現段階では、地道な署名活動を通して訴えていくしかないようです。
スポンサード リンク